アレルギー対応で叶える”みんなで食べられる”喜び

「うちの子、卵と乳製品のアレルギーで、食べられるパンがなかなか見つからなくて…」
「友だちはみんな学校でパンを食べているのに、自分だけ違うものなのが寂しいみたい…」
「お兄ちゃんは、アレルギーのある妹の前でパンを食べられなくて、こっそり隠れて食べているんです…」
食物アレルギー、特に卵・乳製品・ナッツ類のアレルギーをお持ちのお子さまがいるご家庭から、私たちはこうしたお悩みをよくお聞きします。
食べられるパンを探すだけでも、大変な日々ですよね。
そんな皆さんの食卓に「選ぶ楽しさ」と「みんないっしょに食べる喜び」をお届けしたい――。
その想いで、私たちはアレルギー対応パンのtontonを営んでいます。
私たちが「アレルギー対応パン」専門になった理由
私たちがパン屋を創業したのは2005年のこと。
最初は、ごく普通のパン屋でした。
ある日、ご近所の方からパンのご依頼をいただきました。
当時、小学校5年生だった「ちなみちゃん」のお母さんからです。
「卵と牛乳抜きのパンを作っていただけませんか?」
「わかりました!」
創業当初、まだ「食物アレルギー」が今ほど理解されていない時代でした。
全くアレルギーの知識がない状態で、ご依頼を受けました。
卵や牛乳を使わずにパンを作れば喜んでいただけるお客様がいるのに、なかなかおいしいパンを作ることができません。
やわらかくておいしいパンを作るには、卵や乳製品を入れるのがパン屋の常識です。
ああでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返し、やっと出来上がったのがコッペパン。
ふわふわで、口に入れるとシュッと溶けるような、理想的なコッペパンでした。
初めて作ったコッペパン、始まりはここから
ちなみちゃんはとても喜んで食べてくれました。
その笑顔をもう一度見たくて、私たちは毎日、ちなみちゃんに「食べてみたいパンは何?」と聞きながら商品開発をする日々。
気がついたら、クロワッサンやメロンパンなど、50種類以上のパンを作り上げました。
開発を進めるうちに、重度の食物アレルギーをお持ちの方にとっては、原材料に使わないだけでなく、製造過程でのわずかな混入(コンタミネーション)も大きな問題になることを痛感しました。
そこで私たちは大きな決断をします。
それは――アレルギーの原因となりやすい「卵・乳製品・ナッツ類を一切持ち込まない」、アレルギー対応専用のパン工場をつくることでした。
ご縁がつないだ、アレルギー対応パン工場のはじまり
とはいえ、資金も場所もない私たち。
せめて15坪くらいの小さな工場を…と探しましたが、見つかるのは家賃が高すぎたり、建物が古く機械が置けなかったり。
諦めかけていたその時――偶然出会ったのは、なんと250坪の大きな倉庫。
しかも「家賃応談」と書かれていたのです。
「10万円くらいなら借りるんですけど…」
半信半疑で不動産屋さんに伝えると、数分後――
「大家さん、OKだそうです!」
そんなことってあるの?と思いきや、大家さんは地元スーパーさん。
しかも担当の総務部長のお孫さんにアレルギーがあり、日頃からトントンのパンをご愛顧いただいていたとのことでした。
「トントンさんなら家賃10万円でいいですよ。ここで美味しいパンを作ってください。」
そう背中を押してくださり、さらにそのスーパーでトントンのパンを扱っていただけることに!
加えて、地元銀行の担当者さんが融資を決断してくださり、2,000万円の機械投資も実現。
13年経った今でも返済中ではありますが(笑)、このご縁がなければトントンは存在していません。
――まさに「ご縁で繋がっている」その奇跡に心から感謝しています。
アレルギーを気にせず、食べる喜びをすべての人に
私たちがパンを通して目指していること。
それは、アレルギーがあってもなくても、みんなが「おいしい!」と笑顔になれることです。
アレルギーを気にせず、家族みんなが同じ食卓を囲める喜びをお届けしたい。
アレルギーがあるからといって、食べることを諦めたり、我慢したりする必要はありません。
「みんなと同じものを、一緒のテーブルで、笑顔で食べる」
そんな当たり前のようで、かけがえのない幸せな時間を、私たちのパンが少しでもお手伝いできればと願っています。
そしてこれからも、安心とおいしさを追求し続け、食べる楽しみを誰もが分かち合える社会を目指して歩んでいきます。