葉物野菜は残留農薬よりも残留硝酸態窒素のほうが問題って…
20年以上前から安全な野菜を研究されている方が石川県にいらっしゃいます。
フードアナリストの山内外茂男さん。
「安全野菜の勉強会」が開催されるとのことで、参加してきました。
てっきり農薬のお話だと思っていたら…
今販売されている野菜は、残留農薬よりも残留硝酸態窒素のほうが問題って…
硝酸態窒素??
硝酸態窒素とは
野菜が成長するために必要な3大栄養素、リン酸、カリウム、窒素。
植物は空気中の窒素を吸収できないため、土壌から硝酸態窒素の形で吸収するそうです。
硝酸態窒素とは、昭和50年台に排ガス問題で話題になった「NOx(ノックス)」のこと。
硝酸態窒素は体内に入ると、血液中のヘモグロビンと結合して「メトヘモグロビン血症」となり、体中に酸素が行き渡らなくなるそうです。
1940年代、米国で裏ごししたほうれん草を離乳食として赤ん坊に食べさせたところ、真っ青になり30分もたたずに赤ん坊が20数人死亡した「ブルーベビー事件」が起こりました。
現在、EUでは硝酸態窒素の残留濃度基準をほうれん草などは 2,500~3,000ppm以下、加工・貯蔵される野菜については2,000ppm以下としています。
大きく成長して食べごろになる頃には、取り込まれた硝酸態窒素はタンパク質に変わるため、安全に食べられるのですが…
野菜を早く成長させるために、肥料をたくさん与えることで硝酸態窒素が野菜に蓄積され、栄養過多でメタボ状態の野菜が流通しているそうです。
青々と新鮮に見せるため、陳列のしやすさ、農家にとっても早く出荷できるという理由で、ほとんどの野菜は未熟な状態で収穫され、スーパーに並べられています。
つまり、硝酸態窒素が残った状態で販売されているということ。
日本には野菜の残留硝酸態窒素の基準がない
知らなかった…
残留硝酸態窒素という言葉自体、メディアで騒がれているのを見たことがないし、まさか野菜に含まれているなんて…
ちなみに、日本には野菜の残留硝酸態窒素の基準はありません。
いろいろと大人の事情(利権など?)があるのでしょう。
実際に、スーパーで売られていた水菜の残留硝酸態窒素を測定してみると…
7,400ppmって、EU基準の2倍以上!
この数字を見ただけで、食べられなくなりそう…
他にも、りんご、ぶどう、トマト、きゅうり、小松菜、ほうれん草などを計測していただきました。
根菜や実(果物)には残留が少なく、圧倒的に葉や茎に残留していました。
要注意な野菜は、水菜、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜など。
ちなみに、キャベツやレタスからは高い数値は確認されないようなので大丈夫だとおっしゃってました。
長年、野菜の安全性を研究されてきた山内さんによると、現在では残留農薬はほとんど検出されないそうです。
残留硝酸態窒素については、化学肥料、有機栽培に関わらず、肥料を与えすぎると残留濃度が高まるとのこと。
日本には硝酸態窒素の基準がないので、「有機野菜だから大丈夫」「JASマークが付いているから大丈夫」ということではないという衝撃の事実。
青々としたほうれん草や青菜の苦味は、野菜本来の味ではなく硝酸態窒素の味らしいです。
硝酸態窒素は水に溶ける性質があるので、一度茹でると数値が半分になるとのこと。
茹でて食べることをおすすめされていました。
健康のために生野菜を!という神話が崩れていきます…
そういえば、近所の家庭菜園されている方からいただく野菜はとっても立派で大きいのに、スーパーで売られている野菜はこじんまりとして未熟な感じ。
本当は、ちょっと葉先が枯れかかっていて、色味が薄いものが野菜の食べごろだそうです。
でも、それじゃあ売れないんでしょうねぇ…
難しい問題ですが、食の安全について考えさせられる勉強会でした。