黒糖パンの答えは、足すことでも減らすことでもありませんでした
学生の頃、よく買っていたパンがあります。
黒糖を使った、ビッグサイズのパンです。
「黒糖の味が好きだったから」と言えたらいいのですが、正直に言うと、理由はただ「大きいから」でした(笑)
あの茶色いパンに何が入っているのかなんて、一度も気にしたことはありませんでした。

パン屋になって、知ったこと
自分で黒糖パンを作るようになって、はじめて知ったことがあります。
砂糖を黒糖だけにすると、黒糖に含まれる成分が小麦粉に作用して、生地がだれてうまく膨らまなくなってしまうんです。
そのため、世の中の黒糖パンは、黒糖を控えめにして、香料やカラメル色素で色と香りを補う作り方が主流です。
あの頃食べていた大きな黒糖パンの茶色も、もしかすると黒糖だけの色ではなかったのかもしれません。
みんなと同じ黒糖のパンが食べたい
tontonが黒糖パンの試作を始めたのは、2013年のことです。
お客様に新商品のご要望を伺ったところ、一番多かったのが「黒糖のパン」でした。
給食で、黒糖のコッペパンが出るそうなんです。
さっそく、いつもの生地の砂糖を黒糖に替えてみました。
替えたのは、それだけです。
それなのに生地はベタベタになり、まるで栃餅のようになりました。

使える材料は、決まっていました
黒糖を減らして、香料とカラメル色素で色と香りを足せば、黒糖パンらしいものは作れます。
生地を強くする添加物を使う手もあります。
どちらも、tontonらしくありません。
乳製品を多めに入れれば、黒糖の影響がやわらぐかもしれない。
そう考えたこともありました。
でも、tontonのパンに乳製品は使えません。
使えるのは、黒糖と、いつもの材料だけでした。

4年分の「どうして?」は、コラムに書きました
販売を始めてからも、うまく焼ける日と、焼けない日がありました。
2回に1回は失敗していた時期もあります。
うまく作る方法が分からないまま、販売を休んだこともありました。
それでも「黒糖パンの再販はないのでしょうか」というメールが、毎日のように届きました。
答えが見つかったのは、試作を始めてから4年後です。
それは、何かの材料を足すことでも、黒糖を減らすことでもありませんでした。
試作の写真、お客様からいただいたメール、そしてたどり着いた答えを、コラムにまとめています。
4年間の話を読んでいただけたら、黒糖のやさしい風味の理由が伝わると思います。

