卵アレルギーとは?パンを作るときの卵の役割

卵アレルギーは治る?

食物アレルギーで、一番多いのが「卵アレルギー」

最近、本当によく伺うようになりました。

 

卵はとても便利な食材。

食べ物を美味しそうな色にしたり、風味を良くしたり、卵黄は水と油を仲良くさせる乳化剤の役割になります。

卵白は泡立ててケーキをふんわりさせたり、つなぎの役割をしたり、増量剤として使われます。

加工食品にとって、なくてはならない原材料のため、使われることが多い食材です。

 

卵アレルギーとは?

主な抗原(アレルゲン)は卵白の「オボアルブミン」「オボムコイド」というタンパク質です。

症状はアトピー性皮膚炎、じんましん、下痢、嘔吐、気管支ぜんそくが特徴とされています。

ひどくなるとアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

 

人によって「オボアルブミン」に反応しやすい人、「オボムコイド」に反応しやすい人、両方同じくらい反応する人がいます。

「オボアルブミン」は60℃くらいで固まってタンパク質が変質しますが、「オボムコイド」は100度で1分加熱しても固まらず、消化酵素にも強いと言われています。

しっかりと固茹でしたゆで卵は食べられるけど、加熱が甘いとアレルギー反応が出る方は、「オボアルブミン」に反応している可能性が高いです。

 

卵アレルギーになってしまう原因

卵アレルギーになってしまう原因

100%の家庭の子どもの寝具から鶏卵アレルゲンが検出 | 国立成育医療研究センター

 

2019年3月5日に国立成育医療研究センターが発表した論文によると、94名の家庭環境調査で寝具からチリを集めて卵アレルゲン量を測定したところ、全家庭から卵アレルゲンが検出されたそうです。

驚くことに、卵アレルゲン濃度はダニアレルゲン濃度の2倍以上あったそうです。

 

まだ卵アレルギーの仕組みは完全に解明されているわけではありませんが、現在では口から入るよりも前に皮膚からアレルゲンが入ってきて、アレルギー反応を起こすようになるのでは?と考えられています。

皮膚から?というのは不思議に思いますが、卵を使った加工食品のかけらが赤ちゃんの肌に触れて、卵のアレルゲンが侵入している可能性が高いと言えそうです。

なぜ一度も卵を口にしたことのない赤ちゃんが卵アレルギーになるのか?という長年の謎が、これで説明できるのかもしれません。

 

皮膚からアレルギー物質が入ることの危険性については、こちらの記事で書いています。

よかったら読んでみてください。

皮膚からアレルギー物質が入ることの危険性
皮膚からアレルギー物質が入ることの危険性

 

卵アレルギーは治る?

卵アレルギーは成人よりも乳幼児に多く見られ、成長とともに減少していきます。

小学校の入学までに9割は治ると言われています。

アレルギー対応パン屋をやっていて卵アレルギーの子供たちを多く見てきていますが、小学校に入学するかしないかで卵アレルギーを克服していることが多いです。

 

アレルギーの治療法として、「経口減感作療法」という治療法があります。

医師の指導の元、アレルギーの原因食物を少しずつ食べていくことで、アレルゲン物質に慣れていき、アレルギーが抑えられるようになる治療法です。

まだ新しい療法で完全に確立されているわけではありませんが、素晴らしい結果をもたらしているそうです。

 

この治療法は慎重に行わなければならないため、個人の判断は危険です。

大きくなっても少量食べてアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。

かかりつけの医師に相談いただき、 「経口減感作療法」を行っている小児科を紹介してもらってください。

 

アヒルやガチョウやウズラの卵は食べられる?

アヒルやガチョウやウズラの卵は食べられる?

一概には言えませんが、ニワトリの卵アレルギーがある人はうずらの卵アレルギーも持っている可能性が高いそうです。

鶏の卵白に結合する抗体は、アヒル、ガチョウ、七面鳥、かも、かもめの卵白にも結合したという実験結果から、他の鳥の卵でもアレルギー反応が出る可能性は高いと考えられますが、ニワトリの卵にアレルギーがなくても、他の鳥の卵でアレルギー症状が出る事例も報告されています。

人によりアレルギー反応の有無は様々なので、今後の研究に期待しましょう。

 

鶏肉・魚卵は食べられる?

卵アレルギーだからといって、鶏肉も食べられないというわけではありません。

同じ「卵」とつきますが、魚卵アレルギーとも異なります。(違うタンパク質)

 

卵は栄養価の高い食べ物ではありますが、卵の栄養素は卵にしか含まれないわけではないので、他の食品から栄養素を補うことが可能です。

肉、魚、大豆などからバランスよく食生活を送れば、卵を食べなくても栄養面や成長面で気にすることはないと思います。

 

卵殻カルシウムは?

卵殻カルシウムは?

卵殻カルシウムとは、カルシウムの補強や小麦食品の腰を出すための添加物として幅広く食品に利用されています。

卵殻焼成カルシウムと卵殻未焼成カルシウムの2種類あり、どちらも卵の殻を砕いて粉末状に加工したものです。

 

卵殻焼成カルシウムは高温で処理しているため、タンパク質の残留はほとんどありません。

卵殻未焼成カルシウムは焼成していないために、微量のタンパク質が残留している言われていましたが、一般社団法人日本アレルギー学会の論文では、アレルゲン10μg/g以下であったため、卵殻焼成カルシウムと同等と考えられると発表しています。

しかし食品表示法では、卵殻焼成カルシウムのアレルギー表示はなし、卵殻未焼成カルシウムはアレルギー表示ありとなっています。

 

卵アレルギーと医薬品の関係

卵アレルギーと医薬品の関係

卵白から抽出した「リゾチーム塩酸塩(塩化リゾチーム)」を使用した市販薬(風邪薬、うがい薬、歯槽膿漏薬、目薬、軟膏薬)がありました。

しかし、2016年3月17日開催の厚生労働省「薬事・食品衛生審議会 (医薬品再評価部会)」で「現時点での医療上の有用性は確認できない」との見解が出たため、リゾチーム塩酸塩(塩化リゾチーム)を使用した医薬品を販売している各社が自主回収を決めました。

現在では、卵を原材料とした成分が含まれる市販薬は発売されていないと思われますが、アレルギーがある方はかかりつけの主治医、または薬剤師に確認をとることをおすすめします。

 

製造の際に卵を利用しているワクチンは?

はしか、風しん(三日はしか)、おたふくかぜ、インフルエンザなどの予防接種に卵が利用されている物があります。

はしか、風しん(三日はしか)、おたふくかぜのワクチンは、卵そのものではなくニワトリの胚細胞を利用していて、卵のタンパク質はほとんど含まれていないそうです。(1ng/ml以下)

 

インフルエンザワクチンは製造過程で発育鶏卵が使用されていますが、日本で製造されたワクチンは高度な精製技術によって、卵のタンパク質は除去されているそうです。(1ng/ml以下)

ただし、外国で製造されたインフルエンザワクチンは、卵成分を多く含んでいる場合があるので、注意が必要です。

 

重度のアレルギーがある場合は、卵以外の成分に対してもアレルギー反応を起こす可能性が考えられます。

詳しくは主治医の先生にご相談ください。

 

卵が使われている代表的な食品

卵が使われている代表的な食品

  • パン
  • サンドイッチ、フレンチトースト
  • ケーキ
  • クッキー
  • ビスケット
  • アイスクリーム
  • プリン
  • お菓子類練り製品(はんぺん、かまぼこ、ちくわ、すり身など)のつなぎ
  • トンカツ、コロッケなどの揚げ物
  • 麺類(ラーメン、パスタ、日本そばなど)
  • 食肉加工食品(ハム、ウインナーなど)
  • マヨネーズ
  • 天ぷらの衣

風味や色付けに重宝される卵は、いろんな食品の原材料に使われています。

家庭で作るパンやお菓子のレシピにもよく見かけますよね。

また、熱が加わるとタンパク質が固まる性質があることから、つなぎとしても優秀な食品です。

 

食物繊維とビタミンC以外のほとんどの栄養素が含まれていて、「完全栄養食品」と言われます。

特に良質なタンパク質が豊富で、卵2個で成人が一日に必要な量の約30%を摂ることができるそうです。

 

しかし、このタンパク質でアレルギーが出る子供たちが急増。

アレルギー疾患の中で、日本で一番多いのが卵アレルギーです。

アレルギーの問題が表面化したことを受け、平成14年4月より加工食品にアレルギー症状を引き起こす物質を表示する制度が始まりました。

 

即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査 | 消費者庁 | アレルギー対応パンのtonton

即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査 | 消費者庁

 

パンを作るときの卵の役割

パンを作るときの卵の役割

クッキーやビスケットには卵をたくさん配合することが多いので、卵独特の味を感じることができ、パンの上にかかっているクッキー生地、メロンパンの皮は卵の味を強く感じます。

クッキー生地やメロンパンの皮の生地の基本的な配合は、小麦粉、砂糖、卵、油脂(バターまたはマーガリン)になります。

 

また、ほとんどの惣菜パンにはマヨネーズがかかっています。

食パンは卵を使っていない物を見かけますが、菓子パン、惣菜パンで卵を使わないというのは、なかなか難しいですね。

おいしそうな黄色の生地になってツヤもよくなり、菓子パン、惣菜パンに塗って焼くとテカリがでて、いかにもおいしそうです。

 

パン生地の中に卵を配合するとどうなるのか?

卵を入れるとパン生地が黄色になりツヤが出て、いかにも美味しそうなパンになります。

つなぎの役割も果たすので、パンが良く膨らみボリュームが出ます。

また、卵黄中のレシチンが乳化剤の役割を果たして、固くなるのを防ぎます。

 

パンにするには、卵の配合量に限界があるため、卵の味がするパンにすることはできません。

水分を全て卵に置き換えても、かすかに卵の香りがする程度です。

焼色がつきやすく、しっとりとしたパンを作りたいときは、卵を配合することが多いです。

 

卵を使わないと、パンはどうなる?

実感としては…

ほとんど変わりません。

もちろん、美味しそうな黄色のクラムにはなりませんし、ボリュームも控えめ。

 

でも、卵を使わなくても、作り方を工夫すればパンは作れます。

黄色のパンにしたければ、さつまいもやかぼちゃで代用できます。

パンに乳化剤は必須ではありませんし、柔らかいパンを作る方法はいろいろあります。 

卵不使用のパンが手に取りやすいところで販売されていたら、卵アレルギーでお困りの方にとても喜ばれると思うのですが…

 

アレルギーがあっても、食べることが出来る菓子パンや惣菜パンがあります

アレルギーがあっても、食べることが出来る菓子パンや惣菜パンがあります

アレルギーっ子もふわふわの菓子パンや惣菜パンを食べたいですよね。

特に、メロンパンやウインナーパンは憧れのパン。

 

卵は乳製品と違い、比較的パンから抜きやすいです。

なぜなら、パン生地の必須原材料ではないから。

それでも、菓子パン生地、惣菜パン生地に卵を配合しているパン屋は多いと思います。

 

お近くのパン屋さんにお願いすると、卵不使用の菓子パンや惣菜パンを作ってくれるかも知れません。

パン屋と卵は切っても切れない関係にありますので、完全除去は難しいと思います。

アレルギー症状が軽い場合は、お近くのパン屋さんに一度相談されたらと思います。

 

もし、重度のアレルギーがあり、微量でも反応が出てしまう可能性がある場合は…

卵を一切持ち込まないパン工場で製造した、トントンのパンをご利用いただけると幸いです。

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